KPIとは、事業における目標に対して達成具合を数値で表すための指標のことです。この記事ではKPIの具体例をあげながら、その意味やメリットをわかりやすく解説します。
KPIとは
KPIとは、企業や組織が設定した目標に対して、ある時点での達成度を測るための指標のことです。たとえば売上アップを目標にするのであれば、売上額や新規顧客の獲得数など、数値で表せるデータや成果をKPIとして設定します。またこれらは、達成するべき目標に対して「達成率〇%」と表わされることもあります。
なおKPIは「Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)」の略で、日本語の意味は「重要業績評価指標」となります。
KPIの具体例6種
この6つは、ECサイトのKPIとしてよく活用される指標です。他にも、KPIとして活用される指標はたくさんあります。「これを設定しなければならない」という決まりは特にないので、自社の目標やスタイルに合わせて設定しましょう。それぞれの意味について、詳しく解説します。
1.トラフィック
トラフィックは、Webサイトや注文ページへアクセスした人数を指します。商品を購入してもらうためにはまず顧客の目に触れる必要があるので、ECビジネスを拡大させるための基本となる指標と言えます。サイトを訪れた人全体の総トラフィック数のほか、「どの経路からアクセスしてきたか」「どのページにアクセスしたか」などより詳細なトラフィックを指標とする場合もあります。
2.CVR(コンバージョン率)
CVR(Conversion Rate)は「コンバージョン率」とも呼ばれ、サイトを訪れた人や広告を見た人のうち、商品・サービスの購入や問い合わせなどの成果につながった割合を表す指標です。Webサイトや広告の効果を測り、より効率的に成果をあげるための指標となります。また、広告などの表示回数に対してクリックされた回数の割合は、「CTR(Click Through Rate)」と呼ばれます。
3.AOV(平均注文額)
AOVとは、注文一回あたりの平均額のことです。英語の「Average Order Value」の頭文字を取った略語で、総売上額を注文件数で割ることにより計算できます。たとえばファーストフード店でセットが単品よりもお得な価格に設定されているのは、AOVを高める戦略と言えます。
4.顧客維持率
顧客維持率とは、顧客が商品やサービスをどの程度の割合で繰り返し購入したかを示す指標です。いわゆる「リピート率」とも言えます。顧客の満足度などがうかがえるものであり、また新規顧客の獲得よりも既存顧客へアプローチする方がコストや受注率は有利になりやすいことから、さまざまな業種で重要指標とされています。
5.カゴ落ち率
カゴ落ち率とは、顧客が商品をカートに入れたものの、購入には至らなかった割合を示す指標のことです。一度はカートに商品を入れたということは、購入意欲のある顧客だということがわかります。それでも購入まで至らなかった原因を探ることで、受注率や売上のアップにつながります。
6.返品率
返品率は、購入された商品のうち、顧客から返品されたものの割合を示す指標です。返品率が著しく高い商品があるなら、「商品に問題がある」「購入ページ等の説明が不適切」といった原因があると考えられます。顧客満足度やショップの信頼性に関わるので、超えてはならない閾値をKPIとして設定します。
KPIを設定するメリット
KPIを設定するメリットは、達成すべき目標と達成までの道筋がわかりやすくなることです。目標を明確にし、現時点での成果や進捗を定量的に把握できるようになれば、そこまでにかかった時間やコストも測れるようになります。これにより個々の従業員やリーダーも、「何を」「どれだけ」「いつまでに」やるべきかを理解しやすくなります。目標を達成するには、設定したKPIのうちで数値の伸びが足りない箇所を集中的に改善していけば良いわけです。そのため、最終的に達成すべき目標に対して、KPIは複数設定しておくべきです。
また、KPIをもとに個人目標を設定すると、公正な評価基準が生まれます。従業員一人ひとりの成果を公平に評価できるようになるため、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。KPIを設定することで、組織全体での目標達成への意欲が高まり全員が一丸となって取り組む環境が育まれます。
効果的にKPIを設定するための「SMARTモデル」
KPIを設定する際には、「SMARTモデル」と呼ばれるガイドラインがよく利用されます。目標を具体化し達成可能なものとするための考え方であり、重要な5つの要素の頭文字を並べると「SMART」となります。
- Specific:誰もが理解できる
- Measurable:数値で計測できる
- Achievable:現実的に達成できる
- Relevant:最終目標と関連がある
- Time-bound:達成までの期限を定める
たとえばネットショップを運営していて、「事業をもっと大きくしたい」というだけでは「誰もが理解できる」「数値で計測できる」目標とは言えません。具体的に、「年間売上1,000万円」といった最終目標を定める必要があります。売上アップを図るためには、トラフィックは〇件、CVRは〇%、AOVは〇円・・・といった「目標と関連がある」KPIを設定していきます。さらに、これらが「現実的に達成できる」かを検証するためにも、四半期や毎月の達成目標という形で「期限を定め」ながらさらに細かいKPIを設定し、達成状況を継続的にモニタリングしていきます。
まとめ
KPIは日本語で「重要業績評価指標」を意味する言葉で、企業や組織の目標達成度を数値で把握するために役立ちます。KPIを設定することで、目標が明確になり、従業員は自分たちの仕事が全体の目標にどのように貢献しているかを理解できます。また、適切なKPI指標の設定は進捗の把握だけでなく、問題点を見つけやすくしてくれるため、すばやい戦略の改善も可能となります。
今回は具体例として、ECサイトにおける代表的な6種を紹介しましたが、他にもKPIとして設定できる指標はたくさんあります。最終目標を見定め、達成に至るまでに積み上げるべき成果を具体的に示すことが、KPIの役割となります。
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よくある質問
KPIとKGIの違いは?
KPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)の違いは、KPIは「どのように進んでいるか」を示しているのに対して、KGIは「最終的に何を達成するか」を示している点です。
。KGIは、組織やプロジェクトが「最終的に到達すべき成果」を評価するための指標です。それに対してKPIは、KGI達成までの過程を具体的な数値や成果を通して評価するためのものと言えます。
KPIとOKRの違いは?
KPIとOKR(目標と主な結果)は、いずれも組織の目標達成に貢献する指標ですが、考え方に違いがあります。KPIは具体的な数値をもって業務の効率性や成果を測る指標で、目標達成率100%を目指します。
それに対しOKRでは、達成率が60~70%に到達できるような目標を設定します。従業員のモチベーションをさらに高め、よりよい成果を期待するのがOKRのねらいです。
また、KPIはプロジェクトや業務を単位として設定されることが多いのに対して、OKRは四半期ごとなど定期的な目標の設定と見直しを行う点にも違いがあります。
ビジネスにおけるKPIの意義とは?
ビジネスにおいてKPIは、目標とその達成度を測るための指標です。明確な指標をもつことで、改善策や戦略の調整が必要か判断でき、組織全体が共通の目標に向かって効率よく業務を進められるようにもなります。
文:Yukihiro Kawata