ウェブサイトを訪れたときに、URLの先頭に付加された拡張子に気づいたことはありませんか?ウェブサイトの成長にサブドメインは重要ですが、その意味や設定方法、実際の使い方は初心者にとって理解しにくいかもしれません。この記事では、サブドメインについての基本的な内容や、設定の方法、そして初心者でも活用しやすい具体的な使い方までをわかりやすく解説します。
サブドメインとは?
サブドメインとは、メインとなるドメインの冒頭に任意の文字を追加して作成したドメインです。サブドメインを作成することで、既存のウェブサイトのブランドやイメージを維持しながら新しいページを作成できます。メインサイトのドメイン名が「website.com」の場合、「blog.website.com」や「help.website.com」のように、blogやhelpなどのプレフィックス(接頭辞)が付いたものがサブドメインです。
サブドメインとドメインの違い
ドメインとサブドメインの違いは、ドメインは複数のサブドメインやウェブページが集まった大きなネットワークであるのに対し、サブドメインはそのドメインの拡張機能であるという点にあります。サブドメインは同じルートドメインに存在する、小さなウェブページの集まりと考えるといいでしょう。
サブドメインの設定方法
サブドメインの作り方は簡単です。DNSレコードを直接編集する場合や、ドメイン取得サービスの管理画面から設定する方法があります。
ここではShopifyを例に、ドメイン登録をした後のサブドメインの作り方を解説します。
- 管理画面から [設定] 、 [ドメイン] の順に選択
- 設定するメインドメイン(ルートドメイン)をクリック
- [サブドメイン] セクションで、[サブドメインを追加] をクリック
- 追加するサブドメイン(プレフィックス)を入力
- [保存] をクリック
サブドメインの使用目的
サブドメインの主な使用目的には以下のようなものがあります。上手に活用するための目的に合わせたサブドメインの作り方も合わせて紹介します。
- 海外での商品販売
- ターゲット販売
- サイトの試験運用
- モバイル環境の最適化
- ECサイトの立ち上げ
- 問い合わせ先
- クライアントポータル
- ブログ
海外での商品販売
サブドメインを使用することで、越境EC用のページを作成できます。例えば、数カ国にわたって販売を行うのであれば、複数のサブドメインを作り、各国の言語に対応したページを作成すると良いでしょう。
サブドメインの拡張子には地域名、国名、大陸名などを使うのがおすすめです。イギリスの顧客向けには「uk.website.com」、フランスの顧客向けには「fr.website.com」などを使うことで、ユーザーにより関連性のある正当なサイトとして認識してもらえるため、ドメインのSEO対策としても間接的な効果が見込めます。
ターゲット販売
メインドメインとは異なるオーディエンスを引きつけたり、複数の事業目標を達成したりするためにサブドメインを使うことも可能です。例えば、不動産会社が家具を扱う事業を始める場合、サブドメインとして「interior」を加えることで、顧客にひと目で新しく始めたインテリア事業だと認識してもらえます。
メインドメインとは別のサービスを新しく始めたい場合、サブドメインにその新規事業を連想させる単語を使用することで、認知の拡大が見込めます。英語表記では伝わりにくいと感じたら、日本語ドメインでサブドメインを作成できないか、利用しているサーバーを確認してみると良いでしょう。
サイトの試験運用
サブドメインの使い方として多いのは、試験サイトの作成です。サブドメインを使用することによって、公開前にウェブサイトや個々のページを実際の動作環境で試すことが可能になります。一般のユーザーがアクセスする前に問題点やバグを見つけることができるので、サイトのリニューアル時や最新キャンペーンの案内時など、安心して公開できるでしょう。
使用するサブドメインは「test」など試験サイトであることがひと目でわかるものにします。そうすることで作業者にとってわかりやすいだけでなく、万が一間違って公開されてしまい一般ユーザーの目にふれてしまったときにも、正式なものではないと気がついてもらいやすくなります。
モバイル環境の最適化
モバイルサイト専用のサブドメインを作成することで、スマホなどに合わせた画面調整や専用ページ、機能の追加が可能なため、モバイルユーザーの使い勝手を向上させることができます。
Mordor Intelligence(英語)によると、世界のモバイルコマース市場は、2024年現在の4,202億米ドルから2029年頃には1兆7,096億米ドルに拡大し、その間の年平均成長率(CAGR)は32.4%に達する見通しだと述べられています。これからのモバイルコマースの需要を考慮すると、モバイルでの応答性が重要であることがわかります。
サブドメインは、「mobile」のようにモバイル専用サイトであることをわかりやすく示すと良いでしょう。
ECサイトの立ち上げ
メインドメインのブランドやイメージを利用しつつ新しくECサイトを立ち上げたい場合、サブドメインが使用されることがあります。
ブログで収益化を図るために開設されたサイトやアフィリエイトサイトが、後からEコマース機能を加えたいと思ったときに、サブドメインを利用することで既存の読者やファンなどをECサイトへ引き継ぐことができます。
既存のメインドメインを利用してEコマース用のサブドメインを作る場合には、「store」や「buy」など、ショッピングに特化したサイトであることがわかるようなサブドメインを利用しましょう。
問い合わせ先
問い合わせページや技術サポート用のページにも、サブドメインを使用すると良い場合があります。メインサイトがデザイン性やブランディングを重視している場合でも、問い合わせや技術サポートなどのページではわかりやすさを重視したいことも多いでしょう。そのような場合、サブドメインを使うことでメインサイトとは別であることをユーザーに示し、デザインや印象に大きな違いがあっても違和感を抱かせないようにすることができます。
問い合わせ先やカスタマーサポートなどのサブドメインには、「help」「contact」「support」などがわかりやすくて良いでしょう。
クライアントポータル
サブドメインを利用して、顧客がサインインするクライアントポータルを設けているサイトもあります。ログインすれば個々の注文状況、注文履歴、最新のプロモーション、ロイヤルティプログラムのステータスなどをチェックできるため、クライアントポータルは顧客にとってとても便利な機能です。企業側にとっても、顧客自ら注文状況をチェックしてもらえるため、カスタマーサポートの負担減というメリットがあります。
クライアントポータルなど顧客の個別ページへつながるサブドメインは、「clientportal」「my○○」や「mypage」など、自分専用ページだとイメージしやすいものにしましょう。
ブログ
ウェブサイトの中には、サブドメインを使ってブログページをメインページと区別するものもあります。ブログサイトにはブログに特化した機能なども豊富で、ブログを始める場合にはそういったサービスを利用した方が良い場合もあります。その場合はサブドメインを使ってブログサイトに登録すると良いでしょう。
サブドメインは「blog」「diary」「journal」などが考えられます。
サブドメインの使用例
Shopify
Shopifyヘルプセンターの日本語サイトは、「help.shopify.com/ja/」というサブドメインを使って、メインドメインとは別の場所にヘルプページを設けています。
サブドメインを使用することでよくある質問へのアクセスを分散させ、メインドメインの負荷を軽減することが可能です。ユーザーも、サポートが必要な状況でメインホームページ内を探しまわる必要がなくなります。
Benesse
通信教育などのサービスを提供するBenesse(ベネッセ)では、オンライン講座プラットフォームであるUdemy(ユーデミー)の情報サイトにサブドメインを利用しています。
Udemy自体はアメリカのUdemy, Inc.が運営し、プラットフォームのドメインは「udemy.com」ですが、日本での運営はベネッセが担っています。そのため、情報サイトのドメインを「udemy.benesse.co.jp」とすることで、日本での窓口がベネッセであることを明示しています。
Steam
ゲーム配信プラットフォームのSteam(スチーム)は、ストア、サポートページをサブドメインで分けています。ストアページでは「store.steampowered.com」を使用し、サポートページでは「help.steampowered.com」を使用しています。
ストアページはサブドメインを使って下層ページを作ることで、最新情報の頻繁な更新や多岐にわたるカテゴリーによるウェブサイトへの負担を軽減できます。
サブドメインを運用する際に気を付けること
SEO対策
サブドメインを使用する際には、独自のSEO対策を行いましょう。サブドメインのサイトはメインドメインのサイトとは別のものとして取り扱われるため、基本的にはSEO評価などを引き継ぎません。また、詳細な分析を行うにはGoogleアナリティクスの設定も変更する必要があります。メインドメインとの流入経路を計測したい場合は、クロスメイントラッキング(異なるドメインを持つ複数のサイト間で、Googleアナリティクスを使ってセッションとユーザー数を共有する方法)を設定しましょう。
ただし、メインドメインとの関連性が高いと判断された場合には、メインドメインのSEO評価などがサブドメインに影響を及ぼす可能性もあります。
メインドメインでSEOの順位が下がった出た場合や違反をしてしまった場合、サブドメインにも影響が出てしまいます。メインドメインで何か設定を変更するときもサブドメインへの影響を考慮しなければなりません。
サブドメインを使用する際は、メインドメインとの関係性を意識してSEO対策をする必要があります。
セキュリティ対策
サブドメインを作成する際は、セキュリティ対策をより万全にしなければなりません。サブドメインのセキュリティが不完全な場合、ウイルス感染や乗っ取りのリスクが高まりますし、そのままメインドメインにウイルスが移ってしまう可能性があります。
別ドメインでウイルスに感染し、顧客情報をやり取りしているメインドメインにウイルスが移って個人情報が漏洩してしまう、というケースも起こりかねません。
サブドメインを増やしたら、メインドメインと同様にウイルス対策やDNSレコードの管理をしっかりと行うなど、万全なセキュリティ対策を施しましょう。
まとめ
サブドメインをうまく利用すれば、ユーザーや企業側にも使い勝手の良いサイト構成が可能になります。新規事業の開始や新しいページ作成時などには、メインドメインの良い影響を維持しながら新しいウェブサイトを作成することも可能です。ただし、それと同時にSEO対策やセキュリティ対策など、考慮しなければならない側面が増えるのも事実です。
メインドメインとサブドメインの関係性や影響を吟味し、上手に活用して有益なサイト構築を目指しましょう。
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よくある質問
サブドメインとは?
サブドメインとは、メインドメインの冒頭に任意の文字を追加して作成したドメインです。厳密にはドメイン名の一部分を指し、例えば、hanako.website.comの中ではhanakoがサブドメインとなります。特定の目的のために使用されるメインドメインの拡張機能で、サブドメインを含むドメイン名全体をサブドメインと呼ぶこともあります
サブドメインは独立したウェブサイト?
サブドメインはメインドメインの下位に位置するため独立したウェブサイトではありませんが、Googleなどではメインドメインとは別のサイトとして扱われています。
何のためにサブドメインがあるの?
サブドメインの利用には、海外での販売、サイトの試験運用、モバイル環境の最適化、ブログからの派生など数多くの目的があります。
サブドメインとドメインの違いは?
ドメインとサブドメインの違いは、サブドメインがドメインの拡張機能であるという点にあります。ドメインは、複数のサブドメインやウェブページが集まった、より大きなネットワークのことです。その一方で、サブドメインは同じルートドメインに存在する、小さなウェブページの集まりと考えるといいでしょう。
サブドメインとサブディレクトリの違いは?
サブドメインは1つの独立したドメインで、サブディレクトリは同じドメイン内で別の階層構造を構築したものです。
https://help.shopify.com/ja の場合、「help」がサブドメインで「ja」がサブディレクトリです。
文:Ryotetsu