Shopify Experts認定を獲得している、ECサイト構築やアプリ開発を手がける株式会社ウェブライフ。国内外のパートナーと連携して開発リソースを拡大しながら、Shopify普及に努める同社の取り組みや今後の展望について、CEOの山岡義正さんにお話を伺いました。
Shopifyはコアの部分が強固で長く使えるプラットフォーム
代表の山岡さんは、富士通で営業職を経験したのちに独立し、2007年に同社を設立。立ち上げ当初はデータセンター事業や受託開発、2009年からはEC-CUBEやPHPシステム開発を中心に事業を展開していました。EC-CUBEからShopifyへと移行したのは4年ほど前のことです。
「6年ぐらい前にロサンゼルスに出張したとき、現地の複数のエージェンシーさんから時代はShopifyだと聞いたのが、興味を持ち始めた最初のきっかけでした」
EN TEAのオンラインストア
その後、水原希子さんがプロデュースするブランド「OK」や、茶葉ブランド「EN TEA」などのECサイトをShopifyで制作し、やがて本格的にShopify利用を開始しました。
EC-CUBEはカスタマイズ性が高い一方、運用・保守面での課題も感じていたという山岡さん。そうした導入型のプラットフォームと比較すると、Shopifyは「コアの仕組み・エンジン部分の強固さ」が特徴で、長期で使っていけるプラットフォームだと感じたそうです。
「EC-CUBEのようなプラットフォームは、コアの部分もガリガリとカスタマイズできてしまうのがいい点でもありますが、そこを変えてしまうと次のバージョンアップ時に倍のコストが掛かるなどの弊害にもなっていくんです。Shopifyの場合はコアな部分は触らずにさまざまな機能をくっつけていくので、バージョンアップしても我々が作ったアプリやカスタムアプリが動かなくなるといったことがない。長い間使えるような仕組みになっているなと思います。他にもSaaS型と言われる月額のASPやECシステムはいろいろあるんですが、こちらは機能が限られるので、会社が拡大してやりたいことが増えたときに別のプラットフォームに乗り換えないといけない。Shopifyの場合は、小規模なサイトから大規模な案件までプラットホームを変えずに使っていけるのが、作り手的にかなりハッピーな仕組みだと思っています」
クライアントのマーチャントからは、構築しやすさや自由度の高さ、コスト感のよさが好評のようです。
「日本のサービスの管理画面と比べると、すっきりしていて使い勝手が良さそうとか、月額のコストもスタートはそんなにかからないのに、こんなに自由度があってデザインを変えられるんだという声が聞かれます。安かろう悪かろうではなく、本当にいいコスト感でクオリティの高い UI/UXが作って行けるというところも、とても驚かれるポイントかなと思います」
最近では、海外の本社がShopifyを利用しているので日本でも利用したいなど、はじめからShopifyを指定されるケースも増えているそうです。
一方で、海外製のプラットフォームに慣れづらい、英語がハードルになる、といった課題もあるとのこと。
開発を行っていくうえでも、英語での情報収集や、アプリ会社との英語でのコミュニケーションは欠かせません。ウェブライフでも英語は導入時のハードルの1つでしたが、対策として社員の英語学習の支援や、日本語でのマニュアル化に力を入れています。
世界へとShopifyコミュニティを広げていきたい
同社はShopifyパートナーの中でもとりわけ、海外企業との連携実績が豊富です。日本という国にとどまらず、アジアや世界とつながりをつくり、活躍の場を広げていきたいと山岡さんは語ります。
「シンガポールのJumpstartの代表者Xavierとも『アジアを盛り上げよう』という話をよくしています。彼らも周辺のアジアのメンバーとつながりを持って事業を拡大しようとしていらっしゃるんですが、僕らもやはり、日本だけを見ていても面白みがないですし市場もシュリンクしていくと思っているので、国単位ではなくアジアやオーストラリアなどと一丸となってやっていきたいと話し合っています。彼とは飲み仲間でもあり、僕はそんなに英語が流暢でもないですが、人間関係ありきだと思って率先してつながりを作るようにしています」
現在、さまざまな海外企業との連携を進めており、コンタクトを取り合う企業は数十社にのぼります。
「ベトナムに我々のアプリ会社を作るなど、日本だけではまかなえないことを連携しようとしています。アプリの会社のGorgiasさんとはカスタマーサポートのチャットシステムを日本で広める話をしていますし、dotdigitalさんのマーケティングオートメーションツールはすでに管理画面の日本語化に対応済みで、さらに日本で広げるためにどうしていくかを定期的にウェブ会議で話し合っています。アジアだけでなく、アメリカ、ヨーロッパなどのアプリも、日本語のマニュアルや動画を制作するなど、彼らができないところを補って相互に広げていけるような取り組みができないかなと考えています」
他社と連携して、ShopifyギルドというShopify開発の技術を持ったメンバーを揃えたチームを立ち上げ、開発リソースの拡大に力を入れているのも同社の特徴です。
「おかげさまでShopifyができるメンバーは40名くらいに膨らんでいますが、これからどんどんアジアや海外に広げていこうとするとまだまだ足りないので、もっと広げようと思っています。開発の体制としては社員にこだわりはなく、業務委託や業務提携で組織を増やして行こうと思っています」
開発リソースを広げていくなかではサービスレベルの平準化が課題となるため、目下ルール作りやマニュアル作りもスピーディに進めているそうです。
今後は、日本各地の企業が手がける商品を世界へと発信していくためのプラットフォームとして、Shopifyを活用しながら、コミュニティをより広げていきたいと山岡さんは語ります。
「1社10名ぐらいの規模の会社が100社連携すれば1000人になります。それが日本各地やアジアに散らばっていることで、小回りのきく環境構築ができ、マーチャントさんに対してもWebの売上アップや店舗での相互連携など、いろんな提供の仕方ができるのかなと思っています」
外苑前にあるウェブライフ本社を「Gaien BASE」と名付けているのも、1社での展開にこだわらず、各地にベースを展開していきたいという思いからです。
「ウェブライフという会社名を前面に押し出すより、それぞれの会社が得意分野を活かしながら、我々が作ったルールやマニュアル、クオリティのもとで展開していくことで、少人数だと成し得なかったShopifyの多角的展開も目指していけると思っています。そうしてつながりのある企業同士が盛り上がっていけば、マーチャントさんもそれに応じて事業が拡大していけるのかなと思っていますので、そのへんの体制、横のつながりをもっともっと広げていきたいなと思っています」
日本市場に適したアプリの開発に注力
同社が手がけるアプリについてもお話を伺いました。現在はアプリ開発専門の子会社で開発を進めています。日本のEC市場で必要とされる機能を盛り込んだアプリ開発に注力しています。また、日本独自のセキュリティ面の厳しさも、自社アプリを開発する理由の1つだと言います。
「特に大企業などで、アプリのセキュリティレベルのチェックシートを書いてくれと言われるケースが多くなっています。それを海外のアプリ会社にやってもらうのはなかなか難しいですし、日本語を英語にして渡すハードルもある。なので、アプリによっては日本で作って我々の方でちゃんとセキュリティ管理できる方が、大規模向けにも安心してお使いいただけるのかなというところです。セキュリティチェックは当然大切ではあるんですが、他国に比べてより高いレベルが求められる部分はあると思います」
アプリの開発においては、複雑な機能を盛り込みすぎない設計を心がけているそうです。
「機能としては複雑になるアプリだったとしても、極力Shopifyのコアとの連携を複雑化しないで、シンプルに作ることを心がけています。世の中的にも『マイクロサービス』が注目されていると思いますが、一個一個の機能はとても小さく作り、単体でも組み合わせても動くようなアプリの作り方をすることで、活用しやすいアプリになると思っています。たとえば今、1日に大量の注文が入るECサイトで、注文をまとめて捌ける拡張アプリを作ろうとしているんですが、それも注文データを連携するだけのアプリ、大量に捌く一括処理だけのアプリ、納品書を発行するだけのアプリというふうに、複数を組み合わせて1つのアプリとなる設計にしようとしています」
Shopify Plusパートナーとして体制拡充を目指す
今後はShopify Plusパートナーとなって日本企業にShopify導入を促し、長期的にマーチャントの事業拡大に携わっていきたいと考えています。
「サイト制作数がもうすぐ80、制作中も含めると100サイトが見えています。それら1つ1つに対して、サポート・運用を通じた長いお付き合いを重視してやっています。その流れの中でShopifyエキスパートから Plusパートナーになり、規模が大きな会社さんはPlus、スタートアップなどの新規立ち上げに対しては通常プランといった形で、ミニマムスタートでも大規模スタートでも、どちらでも幅広く受けられるよう、もっと体制拡充をしていきたいなと思います」
今後、ウェブライフを中心とした協業がますます進み、コミュニティがより広がっていくことでしょう。最後に未来のパートナーに向けたメッセージをいただきました。
「Shopifyには興味があるけど、なにからはじめていいかわからないという方がいっぱいいらっしゃると思います。その中でも、自分はデザインができるとか、コーディングが得意とか、まだまだ勉強中とか、いろんな方がいらっしゃると思いますので、ぜひ気軽にご連絡いただいて、このGaien BASEにお立ち寄りいただければと思います。形式は本当に問いません。土日だけしかできないとか、お子様がいらっしゃってその合間の時間しかできないとか、いろんな悩みをもたれている方々もいらっしゃると思いますが、その辺もざっくばらんに、飲みながらでもいいですし、まずは一度コミュニケーションを取らせていただければ、何かしら連携できることがあると思います。ぜひお気軽にご連絡いただければと思います」
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