最近では、アメリカでDtoCを活用して成功したスタートアップ企業の事例が注目され、日本でも大手企業を中心に普及が進んでいます。
DtoCは聞いたことがあるけど、意味やメリットがよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
DtoCを導入すれば、流通や仲介業者などを介さずに、顧客へ直接商品を販売できます。
この記事では、DtoCとは何なのか、その意味や、導入するメリットとデメリット、そして成功例を紹介します。
DtoCとは
DtoCとは、英語のDirect-to-Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略で、製品やサービスを製造業者やサービスプロバイダーが自ら消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。
販売形態はBtoCモデルが一般的で、製造業者が製品を小売業者は流通業者を通じて消費者に提供していましたが、DtoCモデルでは中間業者を排除し、製造業者が自社の商品を消費者に直接販売することが特徴です。
DtoCのメリット
DtoCのメリットは、ブランドの魅力を伝えられたり、独自の販売経路ができたりすることなどです。DtoCが注目されている背景には、SNSの普及やEC事業の拡大、定額料金で商品やサービスを利用できるサブスクリプションの普及などがあります。
ブランドの魅力を伝えられる
DtoCでは、メーカーから消費者へダイレクトに情報を発信するため、商品ブランドの魅力を直接伝えられます。自社独自のECサイトを開設して商品を直接販売するため、消費者は他社の情報に左右されず、集中して商品ブランドや会社の魅力をチェックできます。一方、Amazonや楽天市場などのECモールで販売する場合は、他社の商品と比較されるため、ブランドの魅力を消費者に伝えるハードルは高くなります。
独自の販売経路ができる
DtoCでは消費者に直接販売できるため、独自の販売経路を確保できます。最近では、店舗だけでなくインターネットで商品を販売する傾向が高まっているため、仲介業者を介した商品の流通は減っていくでしょう。DtoCを導入して独自の販売経路を構築することで、売上の向上につながりやすくなります。
顧客情報を収集できる
DtoCでは、自社の販売サイト内で企画から販売までを手がけるため、顧客の属性や購入履歴などの詳細な情報を直接収集できます。また、仲介業者などを介さずに消費者に直接販売するため、ダイレクトに顧客のフィードバックを得られます。そのため、より顧客満足度を上げられるような施策を実行できるでしょう。
利益率が上がる
DtoCのメリットとして、利益率の向上も挙げられます。商品の企画から販売までを独自の販売サイトで行うため、小売店や卸売会社などの仲介業者に支払う手数料を削減できます。削減したコストを商品開発や販売価格という形で顧客へ還元することで、顧客満足度アップも期待できるでしょう。
マーケティングしやすい
マーケティング戦略を試しやすいのもDtoCのメリットです。DtoCでは、ECモールの規約などに縛られずに独自に運営できるため、イベントやキャンペーン、ポイント制度など、自由に販売戦略を試すことができます。会社独自の魅力的なマーケティング戦略を実行することで、競合他社と差別化し、自社の商品を選んでもらえる可能性が高まります。
DtoCのデメリット
マーケティングと広告費用の増加
集客を行わなければならないため、直接消費者にアプローチするためには、マーケティングや広告に多額の費用がかかる場合があります。特に競争が激しい市場では、ブランドの知名度を高めるために多くの投資が必要です。
顧客サポートの負担
顧客と直接やり取りすることで、顧客サポートの負担が増加する可能性があります。返品やクレームの処理、製品のサポート、質問や問題への対応など、顧客満足度を維持するためのサポートが必要です。
小売業者との関係悪化
DtoCモデルを採用すると、商品を卸していた小売業者との関係が悪化する可能性があります。これにより、小売業者が製品の販売を停止したり、メーカーを排除することも起こりえます。
DtoCの海外での成功例
ROCKETS OF AWESOME(ロケッツ・オブ・オーサム)
ROCKETS OF AWESOME(ロケッツ・オブ・オーサム)は、子供服を販売しているアメリカのスタートアップ企業です。ROCKETS OF AWESOMEではまず、消費者へ事前にアンケートを行い、ファッションの好みやサイズなどの顧客情報を把握します。そして、年に4回定期的に商品を配送して、気に入ったものだけを購入し、残りは返送してもらうという仕組みです。定額料金で商品を購入できるサブスクリプションと顧客情報を活用した成功例です。
Glossier(グロッシアー)
アメリカ発のGlossier(グロッシアー)は、ファッション雑誌の経験を活かしたブログやSNSで読者と積極的に交流することで、読者の意見を取り入れたコスメを販売し、成功を収めています。Glossierの人気はインスタのフォロワーが270万人以上という数字にも表れています。また、商品に同封されるステッカーは、インスタ映えするということで、若者層を中心にSNSで投稿が広まり、商品の宣伝効果を爆発的に高めています。
WarbyParker(ワービーパーカー)
WarbyParker(ワービーパーカー)は、4人の学生が立ち上げたアメリカのメガネブランドです。仲介業者を介さないことで、質の高いメガネを低価格で消費者に提供し、人気を集めています。WarbyParkerは、ECサイト上で質問に回答してもらい、消費者に合わせたメガネを紹介したり、サイト上で選んだメガネを無料で体験したりできる仕組みで、SNSで拡散する施策などにより、ブランドを成功に導きました。
DtoCの国内での成功例
BOTANIST(ボタニスト)
BOTANIST(ボタニスト)は、日本の会社が運営するライフスタイルブランドです。価格よりも品質にこだわり、シンプルなパッケージが特徴です。通販事業や広告代理店事業を行っていたことがあり、ECサイトで販売の実績を積んだ後、ドラッグストアなどの実店舗でも商品を販売しています。インスタなどのSNSを使って、広告費をかけずに商品の認知を拡大させた成功例です。
BULK HOMME(バルクオム)
国内でのDtoCブランドの成功例として、BULK HOMME(バルクオム)も挙げられます。BULK HOMMEは、2013年にメンズスキンケアブランドとして創業し、20代から30代の男性を中心にSNSで注目を集めています。メンズに特化したスキンケアのブランドで、SNSでの投稿などを活用して、ブルーオーシャンを開拓し、成功を収めた例です。
COHINA(コヒナ)
COHINA(コヒナ)は、小柄な女性向けのファッションを手がけているアパレルブランドです。低身長で洋服を選ぶのに苦労したという思いから起業したということで、身長155cm前後の小柄な女性がターゲットとなっています。2017年11月に初めて商品が完成して、独自のECサイトで販売開始しました。当時400人ほどだったインスタのフォロワーは、今では23万人を超えています。
まとめ
直接消費者へ商品を販売するDtoCは、卸売業者などを仲介することなく直接消費者に商品を販売できます。これにより、ブランドの魅力を効果的に伝えられるだけでなく、顧客情報を収集してマーケティングに活用することで、売上の向上にもつながります。また、海外や国内企業の成功例を参考にして取り入れることで、市場規模に関わらず商品を販売し続けることも可能です。
DtoCの導入は、会社のブランド価値を高めて、継続的な顧客の獲得を可能にしてくれます。だれでもすぐにネットショップを始められるShopifyを利用すれば、DtoCに対応したECサイトが簡単に開設できます。
「DtoC」に関するよくある質問
DtoCとBtoCの違いは
DtoCとBtoCの違いは、商品の流通過程にあります。DtoCは、自社が企画や開発、製造した商品を卸売業者などの仲介業者を介さずに、消費者に直接販売するビジネスモデルです。一方、BtoCは、卸売業者などの仲介業者を経て商品を販売します。
DtoCの意味は?
DtoC(ディーツーシー)とは、Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略称で、自社で開発や製造をした商品を、直接消費者に販売するという意味です。消費者と直接やりとりをするため、顧客情報を活用したマーケティング戦略がしやすくなります。
DtoCの市場規模は?
DtoCの市場規模は年々高まっており、2025年には3兆円を超えると予想されています。DtoCの主な販売経路であるEC市場の規模も拡大しており、2021年には20兆円を超えています。ブランドの商品をメーカー直販サイトで購入するという人が半数以上いるという調査結果もあり、今後もDtoC市場規模は拡大が予想されます。