起業や赤字経営立て直しの際の資金調達の手段の一つとして、近年注目を集めているものにクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングは、インターネットで不特定多数の支援者を集めて資金を集められることから、起業のための資金調達にも適しています。しかし、クラウドファンディングサイトは数多く存在しているため、どれを選んだらよいのかわからないという人も少なくありません。
この記事では、国内のクラウドファンディングサイトについて、それぞれの特徴とともにランキング形式で紹介していきます。また、海外の有名なクラウドファンディングサイトについても取り上げます。クラウドファンディングを始めてみたいけど、どのサイトが良いかわからない、という方はぜひ参考にしてください。
クラウドファンディングサイトの比較ランキング
1. CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
CAMPFIREは、ジャンルや規模を問わず掲載が可能な国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームです。企業だけではなく、NPOや学生団体、地方自治体、個人など形態を問わずプロジェクトを作ることができます。累計プロジェクト数は9万件以上、支援資金総額は870億円を超えます。
プロジェクト作成は無料なのでリスクが少なく、初めてクラウドファンディングにチャレンジしてみたい方にもおすすめです。プロジェクトが成功した場合にのみ、成功報酬として17%の手数料(決済手数料5%を含む)がかかります。さらに、初めてプロジェクトを申請すると担当者がつき、サポートを受けられるので安心です。
クラウドファンディングの基礎知識からプロジェクトを成功に導くためのノウハウ、集客のコツ、実例などを公開しているCAPMFIREアカデミーもあるので、必要な情報を見つけやすいというメリットもあります。
種類:寄付型、購入型
会員数:400万人
累計プロジェクト数:9万件以上
支援資金総額:870億円超
審査にかかる時間:最大5営業日
初期費用:無料
手数料(プロジェクト達成時のみ):成功報酬手数料12%+決済手数料5%
支援募集期間:1~79日(All-or-Nothing方式は1~59日)の間
サポート:無料相談を受けられる、プロジェクト作成時に専任スタッフがつく、ページ構成やリターンの設計に関して、フィードバックを得られる
(2023年3月時点)
2. Readyfor(レディーフォー)
Readyforは、2011年に開始した日本初のクラウドファンディングサイトです。購入型、寄付型のクラウドファンディングプロジェクトを掲載でき、All-or-Nothing方式が基本となっています。自治体や大学、公益法人、認定NPO法人、上場企業などの団体は、プロジェクトの実施を確約することで、All-In方式での掲載が可能です。
READY FORサプリでは、クラウドファンディングの準備や成功のために役立つデータとナレッジが公開されており、事前に準備をしやすい仕組みが整っています。無料相談もあるので、何から始めたら良いかわからない、初めて利用するという方にも安心です。
また、プランは初期費用と掲載料が無料のベーシックプランの他に、個別サポートやページ作成アドバイス、スケジュール提案などが受けられるサポートプラン、リターン校正設計やコンセプト設計、広報・SNS・PRプランニングなど、専門チームから戦略設計支援が受けられるコンサルティングプランが用意されています。
種類:寄付型、購入型
成功事例:2万5千件以上
累計プロジェクト数:2万件以上
支援資金総額:200億円超
達成率:75%(コンサルティングプラン)
方式:All-or-Nothing方式(一部団体はAll-In方式も可)
審査にかかる時間:2~3営業日
初期費用:無料
手数料(プロジェクト達成時のみ):ベーシックプランは運営手数料9%+決済手数料5%+税
支援募集期間:1~90日(All-or-Nothing方式は10~59日)の間
サポート(ベーシックプラン):無料相談を受けられる、広報活動のフォローメールがある、進捗確認ができるプロジェクト分析ツール機能を使える、3営業日内に対応してもらえる問い合わせサポート
(2021年4月時点)
3. Makuake(マクアケ)
Makuakeは、独創的なアイディアや革新的なテクノロジーで新事業を始めるアントレプレナーに適したプラットフォームです。国内未発売の新商品やサービスに特化したサイトで、新しいものを購入したいユーザーから支援を集めやすいという特徴があります。
プロジェクト掲載の際には、キュレーターと呼ばれるサポートスタッフがつき、プロジェクト準備やページ設計、プロモーションプランなどのサポートを受けられます。バイヤーにも注目されているサイトでもあるので、Makuakeのクラウドファンディングを通して、新たな販路の開拓につながった事例もあります。
種類:購入型
3か月のアクセスユーザー数:1000万人以上
1000万円以上のプロジェクト数:1500件以上
累計応援購入総額:900億円超
プロジェクト開始にかかる時間:初回入稿から15営業日程度、最終入稿から8営業日程度
手数料(決済手数料込み):税込み20%(All-or-Nothing方式の場合は成功した際のみ)
支援募集期間: 最大で89日間
サポート:準備から終了までキュレーターによるサポート、一部プロジェクトの自社メディアやアプリでのプロジェクト紹介や広報サポート
(2024年6月時点)
4. kibidango(きびだんご)
kibidangoは、アイデアとそれを実現するスキルを持ったプロフェッショナルや、それに準ずる人がプロジェクトを提案することを前提とした購入型のクラウドファンディングです。手数料が10%と、国内のクラウドファンディングサイトの中では安価なため、自社商品やサービスの質に自信があるものの資金集めに苦戦している方におすすめです。日本進出に興味を持っている海外企業のプロジェクトを300件以上運営している実績もあり、プロジェクトのノウハウを蓄積し続けているという強みがあります。
プロジェクト1件につき専任スタッフが1人つきサポートしてくれるので、クラウドファンディングのやり方がわからない場合でも安心です。また、実際にクラウドファンディングを始める前に、kibidangoユーザーにプロジェクトのアイデアを告知したり、様子見をしたりできる「プロジェクトの種」機能があり、準備段階からファンを獲得することも可能です。
Kibidagoは、次に紹介するGREEN FUNDING(グリーンファンディング)とシステム連携を行ったことにより、双方のプラットホーム上で同じプロジェクトを同時開催する試みも行われています。
種類:購入型
方式:All-or-Nothing方式
プロジェクト成功率:約8割(2020年)
手数料(プロジェクト達成時のみ):10%(楽天ペイ利用分は14%)
サポート:プロジェクト1件ごとに1人選任スタッフがつく、プロジェクトによってはGREEN FUNDINGとの同時開催が可能
5. GREEN FUNDING(グリーンファンディング)
GREEN FUNDINGは、最新テクノロジーを駆使した製品や斬新なアイデアが組み込まれた雑貨を中心に、出版や映像、アート、スポーツなど、さまざなまジャンルのプロジェクトを扱うサイトです。CCC(TSUTAYA)グループの支援を得られるというメリットがあり、蔦屋書店やTSUTAYA店舗と連携して、クラウドファンディング中の体験展示やファンディング後の販売、イベント、トークショーも開催しています。
料金プランは、初期費用がかからないスタンダード、初期費用130万円(税抜)のパートナーの2種類あり、手数料はスタンダードが20%、パートナーは13%です。
種類:購入型
方式:All-or-Nothing方式
平均支援総額:392万円
起案者リピート率:81%
プロジェクト成功率:88%(2020年)
初期費用:無料
手数料(プロジェクト達成時のみ):スタンダードプラン20%、パートナープラン:13%(初期費用は税抜130万円)
サポート:ページ制作アドバイス、ニュースレター掲載、Facebook広告運用代行サポート
6. ENjiNE(エンジン)
新しいサービスや商品に特化した購入型クラウドファンディングサイトのENjiNEでは、All-or-Nothing方式とAll-In方式から掲載タイプを選べます。プロジェクト掲載は主に法人や団体向けのため、申し込み時には会社概要や法人の商業登記簿謄本といった書類が必要となります。
プロジェクトの成功率は80%以上、平均調達金額が約200万円であるため、高額の資金調達を目指す場合に向いていると言えるでしょう。また、日本経済新聞社運営の「未来ショッピング Powered by ENjiNE」上で同時掲載ができるため、集客拡大にもつなげやすいという強みがあります。LINE(ライン)公式パートナーでもあるため、公式アカウントからユーザーへの告知やプロモーションの実施も可能です。
種類:購入型
プロジェクト成功率:80%以上
平均調達金額:約200万円
審査にかかる時間:数日~2週間(コンサルティングやブラッシュアップ、掲載準備含む)
初期費用:無料
支援募集期間:最大90日
サポート:実績を持つスタッフやキュレーターがアイディアの起案から事業化、成長までを一貫して支援
7. MOTION GALLERY(モーションギャラリー)
MOTION GALLERYは、映画や書籍などの分野のプロジェクトを多く扱うサイトで、クリエイティブな活動に特化しています。芸術や文化に関連するプロジェクトを中心としており、All-or-Nothing方式とAll-in方式の2種類から選べます。
映画.comやgreenzといった提携メディアでのPRが可能で、プロジェクトデータ分析や管理ツールも提供されています。MOTION GALLERYを通して、提携先の米クラウドファンディングサイトIndiegogo(インディゴーゴー)内の特設ページに掲載することも可能なので、国際的なプロジェクトにも適しています。
種類:購入型
総資金調達額:50億円以上
累計会員数:50万人以上
成功プロジェクト件数:4000件以上
目標達成率:60%以上
掲載までにかかる期間:最短で翌日掲載
手数料(決済手数料込み):10%、All-In方式の場合、目標金額達成時は10%、達成しなかった時は20%
サポート:専属スタッフのサポートあり、提携メディアでプロジェクトのアピールが可能
8. FUNDINNO(ファンディーノ)
FUNDINNOは、2017年に日本国内で初めてサービスを開始した、株式投資型のクラウドファンディングです。未上場のベンチャー企業に投資ができるサービスで、株式投資型クラウドファンディングの国内シェア1位です。経験豊富なプロによるサポート体制があり、資金調達後のフォローもしっかりしているので、投資型サイトの利用が初めての方にも安心です。エンジェル税制手続きの請負ができる経済産業大臣の認定も受けています。
種類:株式投資型
累計成約額:約116億円
成約プロジェクト数:累計377件
ユーザー数:約13万人
審査にかかる期間:1~1ヶ月半程度
9. Bankers(バンカーズ)
Bankersは、融資型クラウドファンディングで、法人向けのプラットフォームです。不特定多数の投資家から資金を集める仕組みで、最低1万円から投資ができることから、個人からの融資を集めやすい特徴があります。累計運用総額は390億円を超えており、成立したファンド数は350件以上に上ります。プロジェクトの掲載にあたって、金融のプロによる審査が行われます。
種類:融資型
累計運用総額:390億円以上
成立ファンド数:350件以上
平均運用期間:8.2ヶ月
10. COMMOSUS(コモサス)
融資型クラウドファンディングプラットフォームのCOMMOSUSは、申し込みから最短2週間程度で融資を集めることができるサービスです。既存の金融機関で受けられなかった融資を、クラウドファンディングを通して集めたい企業向けのサイトです。保証は原則不要ですが、審査結果によっては必要となったり、保証の有無により借入金利が変わったりすることがあります。イベントやセミナーなどを通じてファン開拓も目指せます。
種類:融資型
年率金利:4.0~10.0%
融資額:3000万~10億円程度
融資までの期間:最短2週間程度
人気の海外クラウドファンディングサイト一覧
Kickstarter(キックスターター)
Kickstarterは、2009年に設立されたアメリカのクラウドファンディングサイトです。クリエイティブなプロジェクトを中心に、映画やゲーム、音楽、テクノロジーなど、さまざまな分野のプロジェクトを扱っています。Kickstarterをきっかけとしてヒットした商品も数多く存在し、クラウドファンディングサイトの中でも知名度が高いと言えるでしょう。
種類:購入型
方式:All-or-Nothing方式
手数料:5%+決済手数料3~5%
総支援者数:2300万人
総支援額:80億ドル以上
成功プロジェクト数:25万件以上
Indiegogo(インディゴーゴー)
Indiegogoは、サンフランシスコを拠点としたクラウドファンディングサイトで、Kickstarterと同様に、購入型クラウドファンディングの代表的なプラットフォームとして知られています。総支援額は約2200億円と規模も大きく、プロジェクト1件あたりの過去最大到達額は、約18億8000万円にのぼります。65社以上のPR企業や小売店とのネットワークがあるため、海外市場での顧客獲得に適しており、アメリカ市場でのプロジェクト立ち上げに携わったバイリンガルスタッフによる日本語サポートサービスも提供されています。
種類:購入型
方式:All-or-Nothing方式
総支援額:約2200億円
支援者数:1200万人
手数料:5%+国や地域、通貨で変動する決済手数料(日本)
JustGiving(ジャストギビング)
JustGivingはイギリスの寄付型クラウドファンディングサイトで、これまでに世界160カ国以上で、45万件以上のチャリティープログラムを掲載しています。チャリティープロジェクトは誰でも立ち上げることができるため、個人や家族単位から企業まで、さまざまな立場や規模でのチャリティーイベントの募集に利用できます。
種類:寄付型
ユーザー数:2200万人
総支援額:60億ドル以上
クラウドファンディングサイトを選ぶときのポイント
取り扱いジャンル
クラウドファンディングサイトには、得意とするジャンルがあったり、そのジャンルに興味関心を持つユーザーが多く利用していたりするため、あなたのプロジェクトと同様のジャンルが多く扱われているかといった点を確認する必要があります。競合他社が多いというデメリットもあるものの、サイトのユーザーに人気のあるプロジェクト紹介の仕方や規模などの傾向を把握することができ、プロジェクトを成功させるための戦略が練りやすくなります。
手数料
手数料はサイトによって、決済手数料込みで提示されている場合や、目標額を達成したかどうかで金額が変わることがあるため、事前に調べて必要な目標金額を算出する必要があります。合計金額から一定の割合の手数料が引かれる仕組みのサイトが多いため、プロジェクトを掲載するにあたっては、手数料を加味した目標金額を提示する必要があります。掲載は無料だが手数料が高い、掲載には料金がかかるが手数料が安い場合もあるため、必要とする金額と手数料、初期費用、必要に応じてオプションなどをしっかりと確認することをおすすめします。
サポート体制
多くのクラウドファンディングサイトで、プロジェクト掲載者向けのサポートが提供されていますが、そのサポート内容はサイトごとに大きく異なります。無料でアドバイスを受けられたり、専任スタッフがついてくれたりする場合もありますが、有料でより専門的なサポートを受けられる、達成率が上がるといったサイトもあります。そのため、無料サポートで十分なのか、それとも追加で有料サポートを申し込むかどうかについてもしっかりと吟味しましょう。。
まとめ
国内のクラウドファンディングサイトの比較ランキングと、海外の人気サイトについて紹介しました。それぞれ、取り扱っているプロジェクトの種類や利用しているユーザーの数や手数料が大きく異なります。
数多く存在するクラウドファンディングサイトのなかから選ぶことは簡単ではありませんが、今回紹介したランキングや各サイトの特徴、さらにはサイト選びのポイントを参考に、あなたのプロジェクトに合ったサイトを見つけて、必要な資金の調達を目指しましょう。
クラウドファンディングサイトに関するよくある質問
同じクラウドファンディングを複数サイトで同時に行うことはできる?
同時に行うことができる場合と、他サイトでの同一プロジェクトの掲載が禁止されている場合があります。利用するクラウドファンディングプラットフォームの規約を確認し、複数サイトで行えるかどうかを確認しておきましょう。ただし、同時に行うことができる場合でも、支援者が分散してしまうリスクがあるため、まずはサイトを一つに絞って行うことがおすすめです。
クラウドファンディングサイトを選ぶときのポイントは?
クラウドファンディングサイトを選ぶときには、各サイトが取り扱っているプロジェクトのジャンルや手数料、サポート体制について調べることをおすすめします。これらの情報を総合的に判断して、あなたのプロジェクトに合ったプラットフォームを見つけてみてください。
海外のクラウドファンディングサイトには何がある?
海外の大手クラウドファンディングサイトには、Kickstarter(キックスターター)やIndiegogo(インディゴーゴー)、JustGiving(ジャストギビング)があります。一部プラットフォームの紹介が日本語で記載されているサイトもありますが、プロジェクト内容などは基本的に英語で掲載する必要があります。
All-or-Nothing方式とは何ですか?
All-or-Nothing方式とは、目標金額を達成した場合のみ資金を受け取れる形式です。目標金額を達成できなかった場合はプロジェクトが不成立となり、集まった資金は支援者に返還されます。一方で、All-in方式では、目標金額に達しなかった場合でも、集まった資金を受け取ることができます。